【第4回】私はずっと、糸の作家だと思っていました

描くことが怖くなり、
受験で立ち止まり、
そのあと染織に出会い、
糸が私の中心になっていきました。

だから私は、
ずっと「糸の作家」だと思っていました。

糸を縫い付けたり、絡めたり、
空間の中に糸を重ねていくことが
私の表現だと。

でも制作を重ねるうちに、
ひとつの違和感に気づきました。

私が本当に震えているのは、
糸そのものではなく、
空間の“状態”が変わった瞬間だったのです。

全体が整い、
その場の空気が少し変わる。

そこにいる人の呼吸や視線が、
ふっと揺れる。

そのとき私は、
「ああ、変わった」と感じていました。

糸を扱っているつもりで、
私は空間そのものに
触れていたのかもしれません。

作品写真は2022年 一宮市旧林家住宅での展示作品

タイトルとURLをコピーしました