【5】水深の中の起源  宮嵜 祥子

【作品解説】

一雫が落ちる
その一雫は川となり 大河となる
一雫は凍り 海底の中で光となる
水の旅の起源

無我苑の瞑想廻廊という建物は個性的で、曲線の多い建物です。

この吹き抜け部分は湾曲した壁に、天井から自然光の入る美しい場所です。天井が高く、2階へ上る階段から見下ろすこともできる広がりのある空間です。

この高さを利用した見せ方を考え、水の表面からだんだん階層を経て一番下の空間は海底をイメージして制作しました。

海底から水の表面をイメージした空間。場所を変えながら観てもらえたら嬉しいです。

そして、この館内通して紡ぎだされる『水』の世界の起源でもある『一雫』一番浅い水の表面を通過し氷の結晶と化して落ちます。

この一雫からすべてははじまったのです。

 

【宮嵜 祥子コメント】

宮田毛織工業株式会社の企画室の女性社員と私が共にニットを編む丸編み機に糸を乗せながら編んだ紺色と水色のニット生地。

沢山の人の手を借りながら一緒にモノ作りをし、それを用いて裂いたり縫ったりしながら制作しました。

完成されたモノを壊す行為ではあるものの、破壊から生まれる糸のヨレ具合、網目の歪なカタチ。

いつも何もないところから創作するのとは、違う感覚で制作できたのは新しい試みとなりました。