生成り糸の作品は、白糸へと少しずつ変化を遂げながら
10年以上前からずっと増殖し続けています。
この白糸で制作していこうと思ったきっかけは、
私が出産をした時の経験がとても強く影響しています。
胎内の細胞が繭の様に優しく胎児を包み込むような感覚です。
自然と自分の中から湧き出る様な感覚でした。
大事なものを真綿で包み込む気持ちは
誰にでも理解できるものではないかと感じています。
その白糸は、私や子供が生きてきた歴史です。
この加藤家屋敷は、200年以上前から存在している場所です。ここで生活して命が受け継がれてきて、
2024年 私がここで命をテーマに表現しています。
作品タイトル 亀山の生命
紅糸は、今回の亀山トリエンナーレのために新たに制作した物です。
紅は受け継がれてきた血の紅であり、日本の色でもあります。
過去から受け継がれてきた歴史を現在、
私はどう表現すればいいか
白糸は過去の歴史を。
紅糸は現在のイマを。
風を受けてなびく糸で亀山という土地で一体となります。
せんい作家として、今一度、初心にかえって
編むということを素直に取り組んでみました。
それでも、昔の自分の様に『丁寧に』という部分が
どうしてもかけてきているけど
それが変化というもので、あの頃の自分には到底できなかった
表現ができている自分もいます。
それを受け入れながらこれからも変化を楽しんで
制作していこうと思っています。
亀山トリエンナーレ2024
加藤家屋敷跡
11/16まで
作品 宮嵜 祥子
写真 兼子 躍 氏