【2】線の抑揚を生むために

針金の線か、編みの抑揚か

針金と針金のつなぎ目が、作品の線に表情やリズムを
与えてくれることがあります。

でも、逆にその“線”を目立たせたくない時もあります。

繊細な動きを表現したいとき、針金はどんなに細くしても存在感が出てきてしまいます。
線が走ってしまうことで、見せたい雰囲気と少し違ってしまう。

でも針金を使わなければ、今度は動きが止まり、
平ばんに見えてしまう部分も出てきます。

そういうとき、私は編み方そのものに抑揚をつけて、
平板さをカバーしようとしました。

素材に頼るのではなく、手の動きと工夫で、
線のリズムやニュアンスを編み出していく。

そんな選択もまた、糸との対話なのだと思います。

写真は愛知県碧南市哲学たいけん村 無我苑での展示
『水と光と音 糸で紡ぐ創造の旅』メイン作品『航海』より