
亀山トリエンナーレでの試み
亀山トリエンナーレで展示した紅の作品では、
私は意識的に針金を極力使わない選択をしました。
重力のままに、 糸の動きをコントロールしていく。
そこに「編む」という行為本来の意味を
見つめ直したのです。
これまでの作品は、白の糸に針金を仕込み、
芯を持たせることで立ち上がる生命力を表現してきました。
でも、針金を抜いた途端、その“生きている”感覚がぐっと弱まったのです。
針金の力、糸の力、光と風と重力。
そのすべてが影響し合って生まれる
“生命力”とは何か——
そんな実験的な試みでもありました。
表現における最小限の力で、
どこまで命を感じさせられるか。
素材を引き算していくことで、
逆に見えてきたものがありました。










