
「明日死ぬって言われたら、この絵で死ねる?」
高校生のとき、塾の公評会で、
先生がある生徒にこう言いました。
私はその言葉を、自分に向けられたわけではないのに、
強く受け取りました。
あのときの自分の絵で「はい」とは言えないと思いました。
描きかけで、未熟で、納得できていない。
このまま終わるのは嫌だ、と。
母にはこうも言われていました。

「人の倍以上やらないと普通になれないよ」
だから私は、
やってもやっても足りないと感じる人になっていたのだと思います。
止まると追いつけなくなる気がして、
未完成のままではいけない気がして。
今も制作をしていると、
どこかでその声が聞こえます。
「これで終われるのか?」
「まだ足りないんじゃないか?」
でも最近、少しずつ思うようになりました。
未完でも、途中でも、
その時の全力で向き合っているなら、
それは“逃げ”ではないのかもしれないって。
あの言葉たちは、
私を追い込んだものでもあり、
同時に、今までの私の核でもあります。
だからこそ、
その力に振り回されるのではなく、
使えるようになりたいと思っているのです。
2026.6.宮嵜 祥子 ゆらぎ 紡いだものがほどけていく|ギャラリー黒(岐阜)















